2003年出産日記  美々杏編

 

 仮称「あたちちゃん」 パパの指をチュパチュパ
 
2003年 8月16日から17日 大雨

連日土砂降りの雨が続き、いっこうに降り止みそうにないこの日、午後6時に美々杏の体温を計ったら37.8度でした。予定日の枠に入っていましたので、急いで病院に連絡してレントゲンを撮りに行きました。多分後12時間から24時間くらいの間であろうとのことでした。

エコ―では2頭確認されていたのに、やっぱり1頭しか残っていませんでした。もう1頭の子は胎内環境があまりよくないためだと思いますが、途中で生きるのを降りてしまったのだと思います。直感ですが、多分もう1頭の子は男の子で、同じ遺伝子を持つ子たちなので、女の子に全てを託し男の子は自ら生まれ出る事を降りたのではないかと思われて仕方ありませんでした・・・。

1回目のエコ―を撮ったときこの女の子は力強く心臓が鼓動しているのが印象的でした。今日のエコ―とレントゲンでもやはり第一印象通り、力強い心臓の動きと、とても長い尻尾(骨ですが・・・)が目に飛び込んできました。(大丈夫、絶対に生きて生まれるから・・・。)その鼓動はそう語りかけて来るようでした。

この子はレントゲン時では体長が12cm、頭周りは25ミリでした。美々杏の骨盤の間隔も25ミリでしたので、頭から降りればなんとか通常分娩できるそうなのですが、逆子なので、この時点で多分無理であろうと判断し、17日の午前中に帝王切開で取り出してもらう決心をし、先生にお願いして家に帰りました。

急いで出産後の支度をしていると、普段めったに吠えないあちゃ丸が私の膝に前足をかけて目を見つめながら必死で何か訴えかけるように吠えています。尋常ではない吠え方に「どうしたの?」と尋ねると、彼はキッチンの方に顔を向けてクンクンと激しく匂いをかぐ様子を見せ、ワンワンとまた激しく吠えます。不思議に思いキッチンに行こうとした時にパパが上がってきてキッチンの前で、「大変だ、ゆで卵の鍋の水がなくなっていて、焦げかけているよ!」と言いました。びっくりしてあちゃ丸を見て、「教えてくれたんだ・・・。ありがとね、あちゃ・・・。」と言って頭をなでると、あちゃ丸は嬉しそうに尻尾を振ってくれました。食欲の全くない美々杏のために茹でていた好物のゆで卵ですが、美々杏の帝王切開に相当動揺しているんだと気づきました・・・。

母子のために用意したケ―ジ(手前白いものは通常のもの)

午後11時、美々杏の体温は37.8度のままです。彼女は他の子と楽しそうにワンワン、キャンキャン言って遊んでいます。でも時折トイレに行っては屈むのですが、便が出るわけでもなく、また何事もないように遊んでいました。でも、12時くらいに突然自分のケ―ジに戻り、丸くなって動かなくなりました。どうしたのかと様子をみると、ケ―ジの中で丸くなって固まっていて、呼ぶと顔を上げて、ハッハッと荒い息をします。下半身をみると少し飾り毛が濡れていて、一見おしっこを失敗したようにも感じましたが、綺麗好きの美々杏は今までそんなことは一度もありません。心配で仕事中(自宅で原稿書いていました。)のパパを呼んで様子を見てもらい、熱を測ると今度は39度になっていて、パパにもどうなっているのかよく分かりません・・・。でも直感で2人ともこれは朝まで持たないのではと感じ、17日の午前1時を過ぎていましたが、どうしようかと散々悩んで思い切ってかかりつけの動物病院の院長先生に電話をかけました。2時に病院に着くと、院長先生は診るなり、「あ、破水している、それにもうすごい陣痛だ。」とおっしゃってその場で緊急の帝王切開になってしまったのです。

この日は終日土砂降りの雨で、パパは待合室で、私は車の中で待機していましたが、午後2時30分、雨が一旦止んだ時、院長先生の奥さんが両手で生まれた子を包んで見せにきて下さいました。その子はとても小さくて体長は13cmあるのに体重は71gしかありませんでした。あちゃ丸の生まれた時の半分以下です。肉がほとんどなく、とても痩せていて、でも院長先生の奥様は「この子は大丈夫ですよ。」と言って下さったので少し安心して、「母親の方はどうでしょうか?」と尋ねると、「今縫合していますから・・・」と言って子犬を連れていかれました。それから約30分後、麻酔が少しだけ醒めて、でもまだ完全には意識を回復していない美々杏を先生は連れてきて下さり、子どもの足が骨盤に引っ掛かってつかえていたとのお話を伺い、恐らく朝まで待っていたら、母子ともにダメだったであろうと感じました。なんとか無事に出産を乗り切れたことを、深夜にもかかわらず対応してくださった院長先生ご夫妻に感謝申しあげます。

生まれた子が小さいことと、美々杏が麻酔から冷め切っていなかったため、病院で預かって下さることになり、2頭を病院に預けていったん帰ることになりました。

急いでヒ―タ―の準備(ヒ―タ―は真夏でも必需品です)2個用意しました。
夏は小さい方が便利で、暑い場合には逃げるスペ―スを作りやすいです。
 
8月17日(出産当日夕方) 午後6時 (小雨)

今日は午後6時にお迎えの約束をしています。でも朝から電話が鳴るたびに心臓が凍りつきそうになります。動物病院からの電話でないことを祈りながら電話に出ること数回、結局動物病院からの電話はありませんでした。お迎えに行く車の中で「電話がなかったのは元気な証拠だよね。」とパパと話していました。でも診察室に入ると院長先生の顔がどこか厳しいのです。お話しを伺うと、麻酔が覚めた後美々杏が錯乱し暴れて子供を傷つけてしまったとのこと・・・。頭の中が真っ白になりました。幸い、手首の上に切り傷を負ったものの子供の命には別状なく、でもしばらく隔離した方がいいと言われ、恐れていたことが現実になった気がしました。よく帝王切開の場合には母親の自覚がなくて子供を育てない、攻撃する、注意力が足りなくて事故になったり怪我をさせる、最悪死に至らしめる等の話は聞いていましたが、こんな小さい子で母犬に育児放棄をされるとどうなるのだろう?不安は大きく膨らみます。

美々杏を見ると普段と顔つきが違い、不信感一杯の異様な目つきで興奮状態です。
考えてみれば無理もありません。これまで自分が子供のように扱われていたのに、ある日突然お腹が痛くなり、気がついたら病院にいて、お腹が縫われていて、ママもパパもいなくて、自分で生んだ記憶もない、見たこともない赤ん坊がいるのですから・・・。

家に帰ってきても美々杏は様子がおかしく、小さいキャリ―に閉じこもったまま出て来ません。私達が赤ちゃんの面倒を看ていると明らかにますますいじけて不機嫌になっていくのです・・・。(これはまずい・・・。)パパと話し合い、美々杏の心をほぐす作戦にでました。「美々ちゃんが一番よ。美々が一番大切なんだからね。」そう声をかけると一瞬機嫌が直り尻尾を振るのですが、それでもやっぱり赤ちゃんを近づけると逃げ出していきます。仕方がないので注射器で赤ちゃんにミルクを1滴1滴与えます。初乳は病院で絞って飲ませていてくれたのですが、もう少し飲ませなくてはなりません。それでも美々は一応様子が気になるようで、キャリ―の隙間からじっとこちらを伺っています。夜中の12時近くになってもその状態は変わりません。このままではどうしようもないので、パパが美々杏を抑えて無理やり母乳を飲ませる事にしました。

でも今の状態では僅かしか出ません。今日はとりあえず初乳を飲ませる程度でやめて、注射器でミルクを飲ませることにしました。

生後1日目 とても小さいのに母乳もあまり出ないので不安です。

8月18日 月曜 (曇り)生後2日目  69g

2〜3時間おきにミルクをやって母乳も含ませているのに体重が落ちてしまい、黄色い尿が出るので病院へ。このまま体重が落ちると危ないと言われ、目の前が真っ暗に・・・。でもパパは、この子は吸い付く力が凄く強いから絶対に大丈夫だと言いました。先生にミルクが薄いのではと言われたので、これまでやや薄めに作っていたミルクをクリニカルドッグミルク、エスビラックミルクのリキッドタイプ、オルミラックミルクを規程通りの量で混合にして、そこへ初乳100を加え、1時間おきに授乳するようにしました。

未熟児のお助けグッズ 哺乳瓶は人間用です。
写真左からクリニカルドッグミルク・エスビラックリキッドミルク・初乳100
イミュストルム・オルミラックミルク・人間の新生児用ゴムのY字乳首

隙を見ては美々杏の母乳も吸わせるのですが、この子は母親のおっぱいに近づくと尻尾を振るのです。生後2日目の子犬が母犬の乳を吸うのに尻尾を振るなんて・・・その様子に胸が熱くなります。
美々杏も初日よりはだいぶ慣れて来た様で、母乳を吸わせている間は大人しくしています。隔離していても赤ちゃんが泣き出すとキュンキュン言って教えにきます。気にはしているのですがどうして良いかわからない様子です。
本当なら母親の暖かさに包まれて眠れるはずなのですが、この子は美々杏の臭いの付いた母親代わりの毛布に顔を埋めて1頭で寝なくてはならず、とても不憫です・・・。

美々杏の臭いの付いている毛布に包まって寝る赤ちゃん。

8月19日 火曜日 (雨のち曇り)生後3日目 体重80g

1時間おきのミルクと母乳が出るようになったことで体重が80gに増えました。
でも今日は朝から完全に母乳にしたら夕方赤ちゃんが下痢をしてしまいました。母乳が合わないのだろうか? 人間用ビオフェルミン半錠を砕いてミルクに溶かして注射器で飲ませました。美々杏はあまり食欲がないので、ニュ―トリカルを舐めさせました。

お助けグッズその2 左からニュ―トリカル・注射器・新ビオフェルミン


8月20日 水曜日 (曇り) 生後4日目 体重85g

美々杏の母乳の出が悪くなりました。ほとんど食事を口にしないためニュ―トリカルを舐めさせます(量が多いと下痢気味になります)。赤ちゃんは下痢から軟便へ。でも便が下半身に付いていたので濡らしたコットンで拭き始めると嫌がって暴れだし、それを押さえようとした途端、せっかく塞がっていた腕の傷に私の伸びていた親指の爪が食い込み、傷口が開いて出血してしまいました。取り乱しながらも慌てて病院へ。傷口が開かないよう包帯を巻かれてしまいました。小さな体に突き刺さる化膿止めの注射針が凄く大きく見えます。痛々しいその姿に申し訳なくて声も出ません。

8月23日 土曜日 (快晴・残暑) 生後7日目 体重 朝 110g 夜120g

生後7日目

               
今度は親子ともども便秘になり病院へ。美々杏の方はやがて出るだろうとのことだったのですが、赤ちゃんの方は母親が舐めて刺激しないので、人の手で出すしかありません。母犬の舐め方は人間の恐る恐るとは比べものにならないくらい乱暴です。さすがにそんなには擦れないので、体温計にオイルを塗って肛門を刺激して便を出す方法を教えていただきました。早速家に帰ってやってみると、出るわ、でるわ、小さいからだから信じられない量の便がにょろにょろ出てきてびっくりです。美々杏は下の世話などは全くせず、赤ちゃんの便をみると嫌な顔をしますが、母乳を飲ませるのは大好きで、いつも私と赤ちゃんの様子を見張っています。授乳の時間になるといそいそとケ―ジから出てきて、うっとりと母乳を上げて、終わるとそそくさとケ―ジに戻るのです・・・。

8月25日 (月) 快晴(残暑) 生後9日目 体重 朝140g 夜150g

今日は美々杏の抜糸をしてもらいに病院に行きました。経過は順調でオリモノも少なく、手術痕はすっかり綺麗になっていて、切った部分も本当に小さいので、すぐに判らなくなりそうです。赤ちゃんの腕の傷も癒え、後は残らないだろうと言っていただけたのでほっと一安心です。赤ちゃんは当面名前がつくまで「あたち」と呼ぶことにしました。
体重は2倍になりましたが、ようやくあちゃ丸が生まれた時と同じ体重です。
でも誕生当日と比べると丸々と太って子パピらしくなりました。この子は体に比べて手足がとても大きいので普通サイズになりそうな予感です。凄い食欲で、美々杏の母乳がなかなか追いつきません。でもミルクは一日1回だけで、後は3時間おきの母乳でも何とか足りているようです。

母乳をあげてうっとりの美々杏と丸々太った「あたち」


美々杏はお母さんの自覚があるのかないのか、普段から小食なのですが、「御飯食べないと「あたち」におっぱい上げられないよ。」というと急いで食器のところへ行って御飯を食べている「振り」をしてアピ―ルします。母乳をあげることが何よりの楽しみみたいで、ずっと子供を見張っています。(美々杏は不思議ちゃんです。)
「あたち」の丸々と太った後姿を見て、このくらいの大きさの子が3頭も入っていたなんて、利プリのお腹は一体どうなっているんだろうと思いました。 利プリも先日病院に行ってエコ―を受けたところ、とりあえず3頭は確認できました。彼女は前回、エコ―の確認頭数より多く生まれたので今度は4頭くらい期待できるかな?
 

NEXTボタンで「アタチの目が開きました。」をどうぞ。